G clafs ト音記号

2023年5月15日-現在、脳波記録用紙にペン、Magnetic Helmet (2011)

《磁気刺激ヘルメット(2011)》を使って左側頭葉の言語野を磁気刺激しながら、脳波測定用記録紙にト音記号を描き続けた。これは、過去に自信が経験した特異な心身状態を再訪するためのものでもある。

当時、自分の存在が消失するかのような恐怖に襲われ、目の前にあった紙とペンを手に取りまるで憑かれたように文字を書いた。文字は次第に意味を成さない記号となり、気がつくとト音記号が紡がれていた。

20世紀前半のシュルレアリストたちは、フロイトの自動連想や心理学の催眠技術などの影響を受け「自動記述(オートマティズム)」という表現手法を開発した。彼らは、言語や理性が本来的な創造性を制約てしまうと考え、認識や理解が追いつかないほど高速で文字を書き取ることで、意識化される以前の無意識の領域を表出しようと試みた。

部族社会の装飾品や幻覚などを引き起こす物質を使用した人の絵、障害のある人たちや、障害のない人で独学で創作を続ける人による創作物には、ある一定の類似性があるように見える。例えば、緻密性や反復性、強い色彩、強迫的に画面を埋め尽くす傾向などがあり、これらの多くは他者に見せることを前提としておらずその行為自体に強い衝動性が感じられる。しかし、このような無目的で無意味とも思える行為の中にこそ、人類の創造性の根源があるのかもしれない。

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