2022年, naiwar, sugar canes, plastic
La Wayaka Current residency program,
April 17th-May 8th 2022
パナマ共和国 Guna Yala
パナマ共和国のカリブ海に囲まれたサンブラス諸島Guna Yala(グナ・ヤラ)自治区。その中で最も伝統的な暮らしを営むArmiraという集落を訪れた。砂浜の上に建てられたサトウキビの家が、村長や集会組織を中心に50世帯ほどある。車はもちろんのこと、電気やガスや電波も行き渡っていないが、ヤシの実の皮で火を起こし、川から引いた豊富な水で調理や洗濯をし、ジャングルや海の幸を得て何不自由なく生活している。
現地に滞在中に最も衝撃を受けたことの一つは、病に対する治療を今もなお呪術医(Medicine man, Botanical man)が伝統医学にしたがって行っていることであった。村に一人しかいないMedicine manが、先祖から受け継いだ豊富な植物に関する知識をつかて、あらゆる病の治療にあたっていた(先進医学の医療機関も1軒ある)。彼は植物は魂をもち、その偉大な力によって病を治してくれると言い、ジャングルから採取した樹木の皮などにクナ語で唄を吹き込みながら彫刻を施す。
彼らに伝わる宇宙観も興味深かった。世界は8層構造になっていると言う。それぞれの層に上下関係はなく、循環的で総合的な関係性をもつ。まず、我々を含む全ての動植物が住む半球体が中心にあり、その外の層を太陽や月が回る。半球体の1層目には植物があり、2層目には不廃物の堆積層、3層目に微生物や虫が住み、そして4、5層目には動物や人間が住む。さらに6、7層へ進むにつれ精神性を帯びて複雑な関係性を帯びてゆく。最後の8層目は女性のシャーマンのみが辿り着くことができるという。シャーマンはそこで精霊と接触し幾何学的模様を見たという。この模様が、言語を持たなかったGuna yalaの人々に、住居の建て方や食糧採取や衣服の作り方などの知恵を与えたという。
シャーマンが8層目で見た模様とはどのようなものだったのだろうか?Medicine manから伝統的な植物療法を聞き、創造と精神世界の境界に迫ろうと試みた。